Smiley face
写真・図版
完成した「LGBTQコミスペよりどころガイド」を持つ近藤由香さん=2025年2月17日午後5時35分、大阪市北区天満2丁目のプライドセンター大阪、花房吾早子撮影
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 しんどい人を支える人も、時にしんどくなる。みんなが安心できる居場所「コミュニティースペース」を運営するスタッフが、燃え尽きず息長く続けられるには――。関西で性的少数者(LGBTQ)の居場所づくりをしてきた人たちが経験を持ち寄り、他の人も悩んだときに頼れる冊子を作った。

 2月に完成した「LGBTQコミスペよりどころガイド」(A5判、全22ページ)。来訪者やスタッフがあらかじめ共有する「グランドルール」の例から冊子は始まる。

 「他の人の話は最後まで聞いてから発言しましょう」「話したくないことは無理に話す必要はありません」「居心地が悪いと感じたら、席を外してみましょう」――。

 一見、当たり前に感じるかもしれない。でも実は、全員が意識しないと守るのは難しい。年齢や性、出身や職業など多様な人が一緒にいる場を、できるだけみんなに安心安全にするには、互いに尊重し合うことが必要だ。

 ファシリテーター(進行役)の心構え、個別相談への対応の仕方、法律家との連携方法なども冊子に載せた。

 特に力を込めたのが「バーンアウト(燃え尽き症候群)を防ぐ」と題したページだ。

 社会的弱者のための権利獲得や課題解決には、長い時間がかかる。目の前の困っている人たちを救いたくても、国や社会はなかなか変わらず、活動の意義を見失うこともある。

 冊子では、自分でバーンアウトの兆候を知り、できることとできないことの整理や、罪悪感を持たず休養することなどを助言する。愚痴を言える相手、客観的に分析してくれるカウンセラーへの相談なども勧めている。

 冊子を発行したNPO法人QWRC(くぉーく)(大阪市)スタッフの近藤由香さん(42)は、最終ページをこう締めた。

 「続けることって難しいけど、なんだかんだ文句言いながら言われながらでも、楽しくやれて、たゆたえども沈まずが大事」

 冊子はQWRCのホームページ(https://qwrc.org/別ウインドウで開きます)から申し込める。送料のみ必要。

いつもそこにいてる「コジさん」

 どんな性の人も安心できる居場所「コミュニティースペース」がいかに大切か。居場所と出会って助けられた人が、居場所をつくり、守り続ける側になって働いている。

 「コジさん」の愛称で周りから親しまれ、しばらく経つ。由来は、好きな新日本プロレスのレスラー、小島聡選手のニックネーム。18歳のころ、女性同性愛者(レズビアン)が集まるサイトで「コジ」と名乗り始めた。

 近藤由香さん(42)がよう…

共有