Smiley face
写真・図版
保管倉庫から搬出される備蓄米=2025年3月18日、埼玉県内

 最近の物価高で特に気になるのが、コメとガソリンの価格です。都道府県庁がある47の都市別にみると、両方ともに全国平均より大幅に高いのが大分市と鹿児島市。逆に両方ともに安いのが、盛岡市、秋田市、札幌市です。なぜ地域差が生まれるのでしょうか。

 総務省「小売物価統計調査」の6月分で、コメ(コシヒカリ5キログラム)とガソリン(1リットル)の価格をみると、コメが最も高い大分市は5552円(ガソリン188円)、最も安い盛岡市は3981円(同165円)だった。

写真・図版
主な都市のコメとガソリンの価格

 どちらの品も重くてかさばるため、価格に響くのが輸送費だ。

 コメは生産量の4割を、新潟県、北海道と東北6県が占める。産地から遠いと高くなりがちで、価格は「西高東低」と言われる。

 ガソリンを作る製油所は太平洋沿岸に集中。北海道苫小牧市の製油所が近い札幌市はガソリン価格が最も安い。次に安い盛岡市は、市内の油槽所(ゆそうじょ)へ宮城県内の製油所から鉄道輸送がある。「走るパイプライン」と呼ばれ、「タンクローリーより低コストで大量に運べる」(岩手県の石油業界関係者)という。

 品種や産地で味が違うコメに対し、ガソリンは同じレギュラーだと品質は一緒。店舗間で高値維持の思いも安値競争も生じやすい。

 セルフ式スタンド比率が全国トップクラスの埼玉県。製油所がない県だが、さいたま市のガソリン価格は全国で3番目に低い。

 大分市は市内に製油所があるのに、鹿児島市に次ぐ全国有数の高さ。この点に関して大分県議会で3月、議員から質問が出た。

ガソリン価格、大分県のスタンドに多い非表示

 「価格の看板があるのに、表示されていないことが多い。価格が不透明になり、競争環境の欠如や価格の不公平感が生まれている」

 大分県内では看板で「888」などと掲げるスタンドがある。県による今年の調査では非表示が6割で、表示の4割より多い。理由は「掛け売りが多く必要ない」「表示設備がない」「価格帯が複数あり表示が困難」などだった。

 県は消費者基本計画で表示率65%の目標を掲げる。議会の答弁で、表示は事業者の判断としつつ「購入時の判断材料となるように、事業者へ表示を働きかけたい」と述べた。

 製油所から遠い地域は高値に…

共有