政府が表明したコメの増産方針について、吉村美栄子知事は7日、「コメ不足がわかったならば責任をもって(増産に)取り組んでいただきたい」と述べ、一定の理解を示した。一方で田んぼや農家が年々減っている現状を踏まえ、「今のままでは増産はなかなか難しい」との見解も示した。
石破茂政権は5日、昨年からのコメ価格高騰の理由が生産量の不足だったことを認めた上で、コメの値崩れ防止のために取ってきた「事実上の減反政策」を見直し、コメ増産にかじを切る方針を表明した。
吉村知事は7日の定例会見で、増産方針をめぐり県内の生産現場で歓迎する声がある一方、需給バランスの緩みによる米価下落を心配する見方もあると紹介。その上で「食料安全保障の観点からも、主食であるコメの安定生産は国を挙げてしっかりやっていく必要がある」との見解を示した。
「食料供給県の山形としてもコメを安定的に供給する責任があり、できる限りの貢献をしていきたい」とも述べた。
ただ、県内の生産現場で毎年1千人超の生産者が離農し、休耕田が増加している厳しい現状も指摘。「再生産できるコメ価格が担保されなければ農家は生活できず、消費者にも不利益が生じる悪循環になってしまう。政府には、再生産できる価格整備や後継者が現れるような環境整備を行ってほしい」と注文した。
県内のコメの収穫量は約36万トン(2023年)で全国4位。だが、この50年あまりで田んぼの面積は約12万ヘクタールから約9万ヘクタールに減り、農業を専業とする基幹的農業従事者の数は約18万人から約4万人に減っている。