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 コメの価格高騰が生活困窮者らへの支援にも影響を与えている。不足分を補うため、政府備蓄米も提供されているが、フードバンクの倉庫からはコメが消え、「緊急事態宣言」を出し、支援を求める団体もある。

 フードバンクを運営する一般社団法人「あじいる」(東京都荒川区)では3月末、計4トンを保管できる低温冷蔵庫のコメが100キロほどに減った。4月上旬には数百キロに増えたが、スタッフの中村光男さん(73)は「前はほぼ満杯だったので、量はかなり少ない」と話した。

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低温冷蔵庫内のコメを確認する中村光男さん。量が減って、現在は発送できるコメがない=2025年4月11日午後4時30分、東京都荒川区、山田暢史撮影

 子ども食堂や、ホームレスや難民らへの支援など計29団体に毎月、約1トンのコメを届けていたが、3月末から休止せざるを得なくなった。ホームページでは「お米がない!緊急事態宣言」と発信。コメ不足が長期化すれば、「多くの人がさらなる生活困窮を強いられる」と支援を呼び掛けた。

 一般家庭や長年の付き合いがある農家の寄付などで確保してきたが、コメの価格の高騰とともに届けられる量が減った。購入先を探したが、まとまった量のコメを入手できるルートが見つからないという。

 支援団体からは「お米の提供がなくなった場合は、炊き出しの活動ができなくなる」との声も届き、中村さんは「(フードバンクを設立した後)25年で初めてだ。このままでは困窮者と社会をつなぐ活動の場が奪われる」と窮状を訴える。

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