高知市から西に車で1時間半、愛媛県境の高原にある、人口約3千人の高知県梼原(ゆすはら)町。この町に昨年秋、「一俵入魂の会」が立ち上がった。町にひとつしかない高校の野球部員らが暮らす寮を、お米で支える住民の集まりだ。
6月中旬の夕方、町で唯一のスーパーは近くの県立梼原高校(全校生徒117人)の生徒たちでにぎわっていた。
「梼高がなくなったら、若い人がガクンと減って町はさびれてしまう。だから町ぐるみで応援してきました」
町で農家民宿やレストランを営む同校卒業生の上田知子さん(69)は言う。
同校の生徒たちは、毎年秋に町中が盛り上がる「龍馬脱藩マラソン大会」の運営を手伝うボランティアスタッフとして活躍する。南国でも厳しい冬は野球部員が通りの雪かきもしてくれる。朝は町のあちこちで生徒たちの明るいあいさつの声が響く風景もある。
統廃合の危機、よみがえらせたのは
約20年前、入学者が減り…