国が購入した新型コロナウイルス感染症の飲み薬の8割弱(約430万人分)が使われずに残っている。購入時の経緯について、厚生労働省は「契約内容に触れる内容は回答できない」としているが、検証が欠かせない。
国が購入したコロナの飲み薬はゾコーバ(塩野義製薬)、ラゲブリオ(米メルク)、パキロビッドパック(米ファイザー)の3種類。それぞれの薬が一般市場で流通する前に国は計560万人分を購入した。
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購入した薬を、国は新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づいて無償で配った。だが、2023年5月、新型コロナが感染症法上の5類に移行した。特措法の対象から外れ、無償配分する根拠を失った。
ゾコーバは今年1月までに約92万5千人が使ったと推定されている。国が医療機関に配分したゾコーバは最大23万人分。つまり、ほとんどの患者は市場に流通したものを使ったとみられる。国が抱えるゾコーバの在庫は177万人分に上る。
国は大量に抱え込んだ薬を売ったり、譲渡したりしてこなかった。製薬会社との契約時に何らかの取り決めがあったのかは明らかにされていない。厚労省の担当者は「今後の流行への備えが必要、との判断もあった」と説明する。
コロナ禍では次々と変異株が…