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2024年の「ブリューワーズカップ」世界大会に臨む飯高亘さん=本人提供
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 日本一の腕前を持つバリスタは少年時代、コーヒーが好きになれなかった。しかし今の彼にとって、コーヒーは「大人の青春」。奥深さにのめり込み、豆の選定や技術を究めようとする日々だ。

 そのバリスタは、茨城発祥のコーヒーチェーン「サザコーヒー」に勤める飯高亘さん(39)。千葉県香取市出身。バリスタ歴は約15年で、いまは不定期で茨城県内や東京都内の店舗でコーヒーをいれる。

 幼いころ、休日の朝はいつも、父親がふかすたばこの煙にコーヒーが混じったにおいが家の中に漂っていた。たばこの煙は体に良くないと知っていた。「コーヒーもダメなものと思っていた」。飲んだことはなかった。

 20歳でバーテンダーを目指して上京。バーの世界は厳しく、2年間お酒をつくらせてもらえず、給料は生活するのに厳しい額。そこで昼間、コーヒーショップの店員を掛け持ちするようになった。最初は生活のため働いていたが、ある一杯に出会って心持ちが変わった。

レモンティーのような華やかな味

 夏の暑い日。千葉県にある老舗の店を訪ねた。「お店のオススメをください」。ホットを頼んだが、席数が少なかったためテイクアウトにした。歩きながら飲むのは、味わうのに最適な環境ではない。でも口に入れた瞬間、衝撃が走った。

 「全然違う」…

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