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コーヒーの木の手入れをする尾上皓さん=2024年7月4日午前11時18分、名古屋市港区の戸田川緑地、松永佳伸撮影

 本州ではほとんど見られないコーヒーの試験栽培が、名古屋市港区の農業文化園「戸田川緑地」で進められている。中日本高速道路と緑地を管理する市みどりの協会が3月から始めた。コーヒー栽培を通じた農業振興と栽培技術の習得をめざすという。

 コーヒーの実が黄色く色づいていた。戸田川緑地にある200平方メートルのガラス温室。鉢植えから2メートルを超えるコーヒーの木まで、エチオピア原産のアラビカ種の5品種90株が栽培されている。

 温室は10~30℃ほどに保つため、冬場は暖房用のボイラーを稼働。天井には日よけのための黒いシートが張られていて、室内を自由に見学もできる。

温度・雨量・水はけの良さ…必要条件は様々

 「自分の経験が役立ってうれしい。何としても試験栽培を成功させたい」

 コーヒーの試験栽培を担当する尾上皓(こう)さん(33)は民間企業で3年半ほど働いた後に脱サラした。27歳の時、熱帯果樹の栽培に興味があり、ハワイ島でコーヒーを栽培する農場で1年間、研修を受けた。帰国後は、戸田川緑地で農場担当として、野菜や花の栽培に携わる。

 中日本高速が名古屋市内でコーヒーの試験栽培ができる場所を探していたところ、尾上さんが担当する戸田川緑地内の「花と野菜のにじ色農場」に使っていないガラス温室があり、実現した。

 コーヒーの木は温暖な気候である「コーヒーベルト」と呼ばれる赤道付近を中心に世界中で栽培されている。生育条件には温度、雨量、土壌の水はけの良さなどがあり、適度な日陰や冷気も欠かせないという。

 尾上さんは、名古屋市の夏の暑さや湿度に注意しながら、害虫などへの対応にも気を配り、「今後はコーヒー豆の収穫や焙煎の体験、試飲会などの開催も検討していきたい」と話す。

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