法政大教授の吉永明弘さん(環境倫理学)=2025年4月25日、森治文撮影

楽問(がくもん)のススメ

学校、趣味、学び直し……。「学ぶ」「教える」の現場にいる方に取り組みや魅力を聞きます。今回は、環境倫理学が専門の法政大教授・吉永明弘さんです。

 ゴッホの有名な絵を買った人が「死んだら棺おけに入れて一緒に焼いてほしい」と言ったら、どう思いますか? 個人的な形見と違い、一般的に芸術品としての価値が認められたゴッホの絵です。自分のものだといって自由気ままに扱えば、非難ごうごうでしょう。

 こうした公共的な価値のあるもの、つまり「みんなのもの」に対して取るべき行動や考え方の基準を、社会倫理と言います。東京都内など各地で今、そのあり方や開発を巡って議論が起きている公園や街路樹の緑も「みんなのもの」。それを考えるのが、社会倫理の中の環境倫理です。行政の土地だといって、自治体が勝手に木を切ったり形状を改変したりはできない。当然、合意形成が必要ですよね。

反対→ウインウインになることも

 一方、愛着ある景観が損なわ…

共有
Exit mobile version