ブームが続くサウナをきっかけに観光客を呼び込もうと、静岡市や地元企業が動き始めた。サウナを文化としてとらえて、県内外からファンを募り、地域全体を盛り上げたい考えだ。
静岡市が4月1日付で任命した地域おこし協力隊員は、一風変わったミッションを持つ。東京都内の会社員だった高浜京子さん(38)に求められたのは、「サウナを活用して市内の観光やビジネス振興に取り組む」というものだ。
高浜さんは福岡県出身。旅行会社に長年勤め、直前まで都内の建築関連会社で働いていた。趣味は旅行とサウナ。住んでいた東京都大田区の下町には数多くのサウナ付き銭湯があり、「はまった」。北海道から九州まで、有名なサウナ施設を目当てに旅をしてきた。
「地方に行くたびその土地の良さを感じ、地域創生に関わる仕事がしたいと思った」という高浜さん。静岡市がサウナに特化した隊員を募集しているのを知り、手を挙げた。複数の応募者から選ばれた。
毎年のように静岡県内を訪れ、豊かな食や自然にひかれていた。自然とサウナ、アートとサウナ、といった企画で、地元の人たちを巻き込んだイベントができないか――。そんな構想を温めている。
協議会が「サウナ飯」開発も
県内でサウナ振興に取り組む一般社団法人、静岡サウナ協議会も立ち上がった。静岡鉄道やサウナ施設を運営する事業者らが中心となって昨年2月に発足。会員は約70団体にのぼる。
事務局長の二村昌輝さん(42)は静鉄社員。市内には、県内外の愛好家が足を運び「聖地」と呼ばれる老舗の「サウナしきじ」(駿河区)がある。だが、東京からアクセスが良いため、周辺の観光はしないでとんぼ返りする人たちが多いことが気になっていた。
二村さんによると、県内には…