日本のビールは、有名人をCMに起用し、宣伝にお金をかけるもの――。そう思っていたら、時流にあらがうように「実質的に宣伝しないのに売れるビール」があるという。現存する国内最古の銘柄「サッポロラガービール(赤星)」と、キリンビールの「ハートランドビール」だ。2銘柄はなぜ、売れるのか。ビール会社はなぜ、広告を打たないのか。

サッポロラガービール(赤星)。もつ焼きとの相性もいいという=東京都品川区、橋田正城撮影

 「赤星は熱処理しているのに味がライトだから、店ではこれしか飲まない」。そう語るのは、夕暮れ時に東京・大塚のやきとん「富久晴」でもつをほおばっていた男性客だ。

 店主の青木武さんは「評判が良かったので十年ほど前、経営を代替わりした際から扱っている」と話す。別のもつ焼き店関係者は「やきとんには赤星とキンミヤ焼酎(宮崎本店の亀甲宮焼酎)が外せない」と語り、都内の魚料理店主は「キレがある。つきあいは数十年だ」と推す。

 テレビや新聞といったマス媒…

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