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2年がかりでまとめた初の著作「自然への想いを繫ぐ皿 『海の幸フランス料理』の伝統と未来」を持つ樋口宏江さん。表紙は最も思い入れがあるという「伊勢海老ソテー、にんじんと柑橘のソース」=2025年5月24日午後2時9分、三重県志摩市阿児町神明、安田琢典撮影
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 「シマカン」の愛称で知られる志摩観光ホテル(三重県志摩市)で7代目総料理長を務める樋口宏江さん(53)が、初の著作となるレシピ集を出版した。えりすぐった79品の料理を紹介し、撮影や生産現場の取材などに2年を費やし、美しいレシピ集に仕上がった。

 フランス料理人の樋口さんは、2016年開催の伊勢志摩サミットの2年前、43歳の若さで7代目総料理長に就いた。同サミットでは各国の首脳に夕食を提供し、23年にはフランスの勲章「農事功労騎士章」(シュバリエ章)を受章。名実ともに日本を代表するフランス料理人の1人だ。

 今回出版したレシピ集「自然への想(おも)いを繫(つな)ぐ皿 『海の幸フランス料理』の伝統と未来」(柴田書店)には、長く受け継がれてきた伝統的な料理に加え、定期的に開く「賞味会」などでお披露目されてきた新作も含まれる。

 「ホテルに長く通ってくれるお客さまや、食材の生産者たちから寄せられた声に応える形でまとめ上げた」と樋口さんは打ち明ける。

 シマカンの料理人たちは「地元産」に強いこだわりを持つ。そのこだわりは、料理を通じて地元食材の魅力を伝え、地域の資源を守る活動「伊勢志摩ガストロノミー」に収斂(しゅうれん)される。フランス発祥の「美食学」を意味するガストロノミーに地名を冠したこの取り組みは、2017年に始まり、今も続く。

代表的な食材は伊勢エビとアワビ

 例えば、伊勢志摩でとれたホ…

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