平野星那さんの舞鶴引揚記念館の定位置は、引き揚げの出迎えを説明するコーナー。説明が乗ってくると身ぶりも大きくなるという=2025年3月6日午後0時6分、京都府舞鶴市平、今林弘撮影

 白樺(しらかば)は、戦後のシベリア抑留生活を説明する上で、欠かせない木だ。福知山高校の3年間、舞鶴引揚記念館(京都府舞鶴市)で学生語り部を続けた平野星那(せな)さん(18)は卒業を控え、10年前の自分に思いをはせる。白樺の木を小学生は知っているか――。

 2024年12月、平野さんは舞鶴市立中筋小学校の教壇に立っていた。3年生約30人に、仮想空間の建築を楽しむ人気ゲーム「マインクラフト」の体験があるか聞いた。「そこに、白い木の材木が出てくるでしょ。それが白樺」と説明すると「あ~」と声が上がった。

 白樺は、加工品の材料に使われた。記念館が展示する白樺の夫婦箸箱は、いつ帰国できるかもわからない中、部下が、若い独身の上官のために作った。抑留中、紙の代わりに日々の思いを和歌で書き付けた「白樺日誌」は、記念館が所蔵するユネスコ世界記憶遺産(現「世界の記憶」)の登録資料だ。

白樺の木の皮に和歌を書いた「白樺日誌」を紹介する平野星那さん=2025年3月6日午後0時11分、京都府舞鶴市平、今林弘撮影

 「小学生に記念館のことを話…

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