Smiley face
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夜の帳(とばり)が下りたシモキタの街の片隅にたたずむジャズバー「LADY JANE」。4月13日の営業を最後に半世紀の歴史に幕を下ろす

 シモキタの名物店がまた一つ消える。

 松田優作ら多くの文化人が通いつめ、映画の舞台にもなった東京・下北沢の伝説的ジャズバー「LADY JANE」が13日の営業を最後に、50年の歴史に幕を下ろす。再開発で姿を変えつつある街の来し方行く末に、店主の大木雄高さん(79)は思いをはせる。

中島みゆきの曲はその名も……

 ♪脛(すね)に傷ありそうなマスターはいつも怒ってる 何かを怒ってる

 中島みゆきが店を歌った曲は、その名も「LADY JANE」。確かにこの男は常に苦虫をかみ潰した顔をしている。近寄りがたい空気を全身から醸し出している。網の目状の路地に劇場やライブハウスがひしめくサブカルのるつぼ、東京・下北沢のエキスを煮詰めた、街の顔だった。店も店主も。

 終戦直前に疎開先の栃木で生まれ7歳で広島に移るも、転校生で被爆体験もないため仲間外れに遭い「性格を大きくゆがめた」。一癖いや百癖くらいある人柄のゆえんだが、15歳で出会ったジャズに救われる。大学では演劇にハマった。どちらも世と時代へのアンチテーゼをぶつける対象だった。

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下北沢の名物バー「LADY JANE」オーナーの大木雄高さん

カウンターカルチャーのタイムカプセル

 ちょうど半世紀前、小劇団を…

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