反体制派が制圧したシリア北西部ハマで2024年12月5日、武器を携えて集まる反体制派の戦闘員=ロイター

 内戦下のシリアで、第4の都市で中部の要衝ハマからアサド政権軍が5日撤退し、反体制派が事実上制圧した。在英の反体制派NGO「シリア人権監視団」(SOHR)は6日、反体制派がハマから45キロ南に離れた第3の都市ホムスの間近まで進軍していると報告。政権側は劣勢が顕著になっており、防衛態勢の強化を急いでいる。

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 北西部イドリブを拠点とする過激派組織「シャーム解放委員会」(HTS、旧ヌスラ戦線)などの反体制派は5日、ハマの収容所に突入し、「(政権に)抑圧された数百人の囚人を解放した」と発表。6日未明には「ハマが完全に解放された。ホムスが我が軍の到着を待っている」と強調した。

 ハマは南方の首都ダマスカスと北部を結ぶ幹線道路が貫く戦略的に重要な都市。1982年にアサド大統領の父の故ハフェズ・アサド大統領(当時)の政権が反体制派ら数万人を虐殺した歴史があり、内戦のきっかけとなった反体制派デモが最初に広がった都市の一つでもある。

 政権側は反体制派による第2の都市アレッポの制圧を受け、ロシア軍とともに空爆を行うなど反撃していたが、二つ目の主要都市を制圧された形だ。アサド政権のアッバス国防相は5日、ハマからの撤退について声明を発表。「市民を守るために再配置を行った。部隊は依然としてハマ周辺に展開している」と改めて説明した上で、撤退は「一時的な戦術的措置だ」と強調した。

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