内戦下にあるシリアのアサド政権を崩壊させた同国の反体制派は9日、中核の過激派組織「シャーム解放委員会」(HTS)の指導者のジャウラニ氏と、旧アサド政権のジャラリ首相が会談し、政権移行について協議したと発表した。旧政権の打倒から一夜明け、新政権の発足に向けて本格的に動き出した形だ。
反体制派は9日、SNSへの投稿で、「シリア国民への(行政)サービス提供を保証した形での政権移行について調整した」と述べ、ジャウラニ氏とジャラリ氏が向かい合って協議する姿を収めた動画を公開した。その上で、「新政府は、発足次第その活動を開始する」と主張し、政権移行を急ぐ考えを示した。
HTSは国連や米国などからテロ組織に指定されており、過去には拷問や処刑などの非人道的行為も報告されている。反体制派としては、旧アサド政権幹部と協力して平和裏に政権移行を進める姿を示すことで、国民や国際社会の懸念を払拭(ふっしょく)したい狙いがありそうだ。