シンガポールで2025年5月3日、人民行動党の集会会場に到着したローレンス・ウォン首相=ロイター

 シンガポールの総選挙(定数97)が3日に投開票され、与党・人民行動党(PAP)が87議席を得て大勝した。建国の父リー・クアンユー氏の長男で20年にわたり同国の首相を務めたリー・シェンロン氏から指導者の座を引き継いだローレンス・ウォン首相は、初の総選挙で有権者から一定の信任を得た。

  • トランプ関税下で占う貿易立国の将来 シンガポール総選挙の焦点とは

 1965年の独立以来続く、PAPによる事実上の一党支配が今後も維持される。PAPの得票率は65.6%で、前回(61.2%)を上回った。主要紙ストレーツ・タイムズは、選挙結果を「PAPの地滑り的勝利」と伝えた。

 ウォン氏は選挙結果を受けた記者会見で「シンガポールの人びとは、統治に対する明確で強い信任をPAPに与えた」と述べた。トランプ米政権の高関税政策で不確実性が高まるなか、貿易立国のかじ取りを進める上で国民の支持を得た。ウォン氏は「(選挙結果が)この激動の世界に立ち向かうのに、シンガポールをよりよい立場に置くことになるだろう」とした。

 一方、最大野党の労働者党(WP)は前回と同数の10議席を確保した。新自由主義的な国家運営を続ける同国では、格差拡大や生活コスト高騰への不満が募り、総選挙でも論点となった。最低賃金の導入や、居住費・公共料金の負担軽減などを公約に掲げたWPは不満を抱く層の受け皿となった。敗れた他の選挙区でもPAPとの接戦を演じ、存在感を示した。

日本企業も拠点を置く東南アジア経済の中核

 同国は人口約600万人で…

共有
Exit mobile version