トークイベントに登壇した「世界ではじめての女性大統領のはなし」の作者ラウン・フリーゲンリングさん=2025年5月29日午前10時19分、大阪市此花区、岡純太郎撮影

 大阪・関西万博で29日、アイスランドの歴史や魅力を発信する「ナショナルデー」があった。

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 アイスランドは、世界で初めて女性の大統領が誕生した「ジェンダー平等先進国」として知られている。この日は同国で書かれた絵本「世界ではじめての女性大統領のはなし」(平凡社)をテーマにしたイベントが開かれ、作者のラウン・フリーゲンリングさんと訳者の朱位昌併(あかくらしょうへい)さんが、女性の同一労働同一賃金や政治参加などをめぐる同国の歴史や取り組みなどについて語り合った。

 絵本は、1980年にあった選挙で、世界で初めて民主的に選出された女性の国家元首として知られるビグディス・フィンボガドッティル氏を題材にしている。架空の少女がビグディス氏の自宅を訪れ、彼女と対話しながら大統領に至るまでの半生をたどる筋書きだ。

 アイスランドは世界経済フォーラムによる2024年の「ジェンダーギャップ指数」(GGI)で、146カ国中1位を獲得。現職の大統領や首相、首都のレイキャビク市長も女性が務めている。日本のGGIは118位で、大きく差が開いている。

 イベントでラウンさんは、絵本の制作過程で元大統領にインタビューを重ね、「ユーモアや温かい心」に触れたエピソードを紹介。ビグディス氏は「女性のロールモデル」として敬愛されているという。ただ現役を引退し、当時の活躍を知らない世代も増えたといい、「彼女を知らない子どもたちに絵本を通じて挑戦の歴史を知ってほしい」と話した。

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