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ジャングリア沖縄の記者会見に登壇し、記念撮影に応じる石破茂首相(右から2人目)と、マーケティング会社「刀」の森岡毅氏(同3人目)=2025年1月28日、東京・大手町

 沖縄本島北部。シダ植物が茂る山道の先に、茶色いシートで囲われた一帯が現れる。25日に開業するテーマパーク「ジャングリア沖縄」だ。

 敷地は今帰仁村(なきじんそん)と名護市にまたがるゴルフ場跡地(約60ヘクタール)で、世界自然遺産「やんばるの森」にも近いエリア。オフロード車に乗り肉食恐竜から逃げるダイナソーサファリなど、豊かな自然を生かした約20のアトラクションを用意する。

 手がけるのはマーケティング会社「刀」で、最高経営責任者(CEO)を務めるのが森岡毅だ。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)再建の立役者と言われる。

 森岡はジャングリアについてこう説明する。「東京ディズニーランドやUSJと同じだったら、観光客が限られた日程でいくことはない。どんなパークを造らなければならないか。沖縄旅行を最高にするパークだ」

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ジャングリア沖縄の入り口で来園者を迎えるシンボル「ジャングリアツリー」=2025年6月6日、沖縄県今帰仁村

 森岡にとって、沖縄でのテーマパーク建設の挑戦は2度目だ。1度目は約10年前、頓挫した。USJの進出検討だった。

 当時、「第2のUSJ」を構想、森岡ら5人ほどの限られたメンバーで計画を進めた。複数の候補地から沖縄に狙いを定める。国や県と調整を続け、関係者との調印まで、あと一歩だった。

 しかし、構想が明らかになって約2年後の16年5月。USJは県と国に正式に計画の撤回を伝えることになる。前年、USJの親会社が代わり、大阪での投資に集中する方針に転じていた。

 森岡はこう、振り返る。「計画を断念しても、思いとアイデアの残像があった。成功すれば、50年、100年にわたって日本の次世代の食いぶちを作る価値ある仕事。諦め切れなかった」

 翌17年に、森岡はUSJを離れて刀を立ち上げる。そして、「一丁目一番地」と掲げたのが、沖縄での再挑戦だった。

 沖縄に飛んで、まず訪ねたのは、オリオンビールだった。

 社長の村野一は当時の様子を…

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