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大型の作品が並ぶ展示室
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 年をとって丸くなるどころか、ますますとがった作品を生み続けた。アーティストの田名網敬一さんが今月9日、88歳で亡くなった。一つの肩書におさまらない、縦横無尽な創作の跡は、国立新美術館で開かれている初の大規模回顧展にも表れている。

作品に表れた「戦争の記憶」

 四方八方から、作品の熱が押し寄せてくるようだ。出展数は約500点。初期のシルクスクリーンから、絵画、コラージュ、アニメーション、最新作のインスタレーションまで。60年以上にわたる創作活動を網羅している。

 「デザイナーでもあり、アーティストでもあり続けた先駆的な存在。さまざまなジャンルで作品を展開し、発想を活性化させていった」と、国立新美術館の小野寺奈津・特定研究員。

 現在の武蔵野美術大在学中からデザイナーとしてのキャリアをスタートさせる一方、前衛芸術家の篠原有司男さん、赤瀬川原平さんらとも交流を深め、行動を共にした。デザインと美術の境界が今よりもはっきりしていた時代から、その両方を自在に行き来していた。

 作品に通底するのは、幼い頃の戦争の記憶と、戦後に触れたアメリカ大衆文化の影響だ。

 防空壕(ごう)から見えた巨…

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