絶滅が懸念されている国の天然記念物のジュゴンが、琉球列島の広い範囲で生息している可能性が高いと、沖縄県環境科学センターや龍谷大、京都大などの研究チームがふんのDNA分析などで明らかにした。宮古諸島では約半世紀ぶりの生存が確認された。
ただ個体数が極端に少ないことには変わりなく、分布域の研究をさらに進め、えさ場となる海草藻場の保全対策に取り組む必要があるという。
人魚のモデルとも言われるジュゴンは海草などを食べる哺乳類で、成獣で体重が250~900キロになる。沖縄などの南西諸島の海域が太平洋側の生息域の北限とされるが、明治以降に乱獲で減少。国際自然保護連合(IUCN)が2019年にレッドリストで、この海域に生息するジュゴンの個体群は、野生絶滅の一歩手前の「深刻な危機」と位置づけた。19年に沖縄本島の今帰仁村で死んだメスが見つかって以降、正式な生息情報がなく、南西諸島で絶滅した可能性も指摘されていた。
研究チームが22年6月と8…