衛星放送のスカパーJSATは5日、低軌道で地球を周回する観測衛星10基を新たに打ち上げると発表した。防災や安全保障分野での需要を見込み、撮影画像を政府や民間企業に販売する狙い。放送事業が頭打ちとなるなか、好調な宇宙事業をさらに伸ばしたい考えだ。
衛星は2026年後半~27年にかけて打ち上げる計画で、約400億円を投資する。10基の衛星を一体運用することで地球上の全地域をカバーし、指定した場所を数十分ごとに撮影できるほか、地上の物体を30センチ単位で識別可能という。
同社はこれまで、地上からは上空の一点にとどまって見える静止衛星を運用し、自治体やインフラ企業、船舶や航空機向けの通信サービスなどを手がけてきた。今回の打ち上げで、高度2千キロメートル以下の低軌道の観測衛星事業に本格的に参入する。海上のミサイル艦や地上の軍事施設の監視のほか、災害時の被害状況の把握などの需要を見込む。
宇宙事業は今や、同社の稼ぎ頭だ。米倉英一社長は朝日新聞の取材に「うちは放送会社ではない」と言い切る。
親会社のスカパーJSATホ…