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木の枝に止まるスズメの幼鳥=2025年5月27日、東京都中央区築地5丁目、小林正明撮影

 街中でも見かけるごく身近な鳥のスズメ。4月から8月の繁殖期に多いと3回繁殖し、巣立った幼鳥は、しばらくは親鳥から餌をもらって育つ。東京・銀座や築地周辺などの都心部でも、あちらこちらで巣立ってまもない幼鳥に餌を与えるスズメの親鳥の姿が見られた。

 そのスズメが急速に減少している。環境省と日本自然保護協会が行っている生物多様性に関する基礎的なデータを集めるモニタリングサイト1000の調査で、2024年10月に発表された5年に1度のまとめで明らかになった。

 モニタリングサイト1000の調査では、全国各地の様々な環境の中で長期にわたって生き物の生態を見ていく。里地調査では、全国約200カ所ある調査地点で、繁殖期と越冬期にそれぞれ6回、約1キロの距離を歩き、およそ50メートル以内で姿を見たり鳴き声を聞いたりした鳥を記録する。

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親鳥からエサをもらうスズメの幼鳥(左下)=2025年6月30日、東京都中央区築地5丁目、小林正明撮影

 里地調査と森林・草原調査の09年度から20年度のデータの解析で、スズメやセグロセキレイ、ムクドリなど7種の農地や草地など開けた環境に生息する鳥は、15年以降1年あたり-7・4%と急激に減っていた。減少率だけでみると、絶滅危惧種の判定基準に相当する減り方だった。

 また、19年に発表された前回のまとめでは、05年度から17年度のデータを解析、その中でスズメの1年あたりの個体数変化率が+0・5%だった。今回のまとめにある08年度から22年度のデータの解析では-3・6%だった。この14年の間に40%減っている計算になる。

 調査で確認できた鳥類の種数も減っている。種数の減少要因を管理放棄、気候変動、外来種の侵入などの影響で比較してみたところ、気温の上昇の影響が最も大きかったという。

 モニタリングサイト1000の里地調査のデータを利用して人口減少との関係を調べた研究によると、人口減少によって生物多様性が失われることがわかった。里地里山の管理が行われなくなると、農地や草地が森林化し、そこに生息する鳥など生き物が減っていくという。

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茂みの中にスズメの幼鳥がいた=2025年5月27日、東京都中央区築地5丁目、小林正明撮影

 どちらの研究にも関わっている日本自然保護協会の藤田卓さん(52)は、スズメなどの開けた環境に生息する鳥の減少について「管理されない田や草地が広がり、鳥たちが利用しにくくなっているところに、近年の気温上昇も影響したのかもしれない」と話す。

東京都心では増え、郊外で減少 その理由は?

 一方、スズメの数が減ってい…

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