阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)は、1日に開場100周年を迎えた。7日には、第106回全国高校野球選手権大会が開幕した。
球場の歴史と共に歩んできた「甲子園カレー」は、多くの野球ファンから愛され続けてきた。
100年前から受け継がれている伝統の味が、その1皿に込められている。
球場開設の1924(大正13)年から甲子園で食べられてきたカレーライス。夏の定番だった「かち割り氷」より30年以上も昔に登場し、元祖スタグル(スタジアムグルメ)のひとつともいえる。
球場で手作りされた甲子園カレーを求め、食堂には長蛇の列ができたという。
大正13年の発売当初はコーヒー付きで1皿30銭。もりそばが1杯10銭、グラウンドキーパーの日給が75銭の時代だ。ハイカラ好きには、たまらないごちそうだったに違いない。
戦時中は牛肉に代わり、イルカの肉や貝柱などが使われたこともあったという。球場内では梅干しと佃煮(つくだに)だけの「日の丸弁当」以外は販売されなかったこともある。
球場で手作りされていた甲子園カレーは、80年から調理を外注することになった。9キロ入りの大型缶で球場に運び込まれ、大鍋で温めて提供。「肉が入っていない」といった苦情にも対応するため、88年からは1食ごとのレトルトパックを温めて提供するようにもなった。
現在の価格は700円(税込み)。チーズやロースカツなどのトッピングもできる。「甲子園ホルモンカレー」や「甲子園バターチキンカレー」などメニューは豊富だ。
公式オンラインショップで購入すれば、高校野球を自宅で観戦しながら伝統の味を堪能することもできる。(斎藤孝則)