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青森千枝美さん(左)とともに「働くデイサービス」に取り組む関やよいさん(右)と高柳文子さん=2025年6月4日午後0時20分、静岡県松崎町、南島信也撮影
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 スタッフ5人の平均年齢は80歳超。静岡県松崎町にある築160年の古民家を改装した和カフェ「伊豆松崎 であい村 蔵(くら)ら」で代表を務めるのは、青森千枝美さん(89)。訪れた人を元気にする不思議な力を持つこの店を切り盛りして15年。「元気をもらいに来てくれることが私の使命感になっている」と話す。

 人口5583人(5月末現在)の松崎町は、65歳以上の割合(高齢化率)が50.8%(4月30日現在)で、県内では西伊豆町、川根本町に次いで高い。店内は老若男女でいつもにぎわい、大学生をはじめ全国から視察が訪れる。この店のもつ魅力に引き寄せられている。

 蔵らは「働くデイサービス」なのだという。松崎名物のまゆ最中「まゆこ」が売りのカフェと、明治から昭和初期の古い着物をリメイクした手芸品の展示・販売をしている。いちばんの特徴は、スタッフや店で扱う商品を手作りする人たち約30人全員がお年寄りだということ。作り手の一人、89歳の女性は毎日一足靴下を編み、青森さんの自宅ポストに投函する。「編み物は、手を使い頭も使う。『ものづくり介護』でみんな元気なの」と笑う。地域のお年寄りたちの生きる支えとなっている。

「みんなのよりどころを」

 大阪で生まれ、父の故郷であ…

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