瀬戸内海沿岸に鉄鋼や化学、自動車などの工場が並ぶ山口県。工業県だけに三つの国立高等専門学校と、工業系学科を持つ18の高校がある。

 「高校卒業後、待遇の良い大企業の工場に就職できる。このため大学進学率がなかなか上がらない」

 山口県立大(山口市)の田中マキ子学長は嘆く。

山口県立大学=2024年10月、山口市、増谷文生撮影

 同県の大学進学率は43%(2024年)と、全国で3番目に低い。さらに多くの若者が大学進学を機に県を離れる。岩国市や周南市など県東部からは広島県へ、下関市や宇部市など県西部からは福岡県へ出ていくケースが多い。

 このため県内には大学が10校あるものの、県内高校出身の学生は29%。また、大卒者の県内就職率も27%にとどまり、若者の定着は県政の大きな課題だ。

 県はまず、山口県立大の改革に着手した。昨年公表した「山口県まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、県立大の卒業生の県内就職率を、現在の45%から50%超へと増やす成果指標を設定した。

 また、県立周防大島高校を26年に県立大の付属高校にする。周防大島は県の東端にある。

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