「あれ?」
何げなくパソコンでグーグルマップのストリートビューをのぞいていた田中あずささん(43)=大阪市住吉区=は手を止めた。
3月のことだ。
ひと月前に73歳で亡くなった父の良二さんを思いながら、パソコン上で実家の近くを「散策」していると、見知った2人の姿が目に飛び込んできた。
杖をついて歩く父と、それを支えるようにして歩く母の豊子さん(67)。
時期を見ると、2023年1月になっていた。ちょうど父が膀胱(ぼうこう)がんの手術を受けた直後。2人連れ添って歩いていた。
「父は亭主関白なところがあって、母に頼ったりするような姿を私たちに見せたことはなかった。けど、2人は知らないところで、こんな風にして仲良く連れ添っていたんだな、と思うと、胸がいっぱいになりました」
そう話すあずささんには、宝物がある。
それは、父と母がつないでくれたスター俳優との縁。
俳優への手紙
はがきには「剛毅果断」と書…