公正取引委員会の委員長に5月に就任した前財務次官の茶谷栄治氏(62)が朝日新聞のインタビューに応じた。デジタル分野の公正な競争と、中小企業の賃上げの二つが、「日本経済の今後の成長にとって非常に重要なポイントだ」と述べ、特に力を入れていく方針を示した。
公取委は近年、アップルやグーグルなど巨大IT企業の監視を強化している。12月には、スマートフォンのアプリ市場の独占を規制する新たな法律「スマホソフトウェア競争促進法」(スマホ新法)が全面施行される。
ただ、規制対象のアップルは、新法は利用者のデータやプライバシーの保護を損なうなどと懸念を示している。茶谷氏は新法について、競争を促すことで消費者の選択肢を増やすことが目的だとしたうえで、「セキュリティーの確保などとのバランスをどうやって取っていくのかが、非常に重要な論点だ」と述べた。
茶谷氏はまた「アップルやグーグルの理解なしには、そもそも法律自体も実効的な施行ができない」とも指摘。自らアップルやグーグルの担当者と意見交換したと明かし、「抽象的な議論では結論は出ない。諸外国の状況もみながら、綿密な対話を重ねていくしかない」と語った。
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