民間人を含め経済安全保障上の重要情報を扱う人の身辺を国が事前調査する「セキュリティークリアランス(適性評価)制度」を導入する法案が5日、衆院内閣委員会で与野党の賛成多数で可決された。来週にも衆院本会議で採決される見通し。
法案は、安全保障に「支障」を及ぼす恐れがあるものを「重要経済安保情報」に指定。情報の取扱者に保全義務を課し、情報漏洩(ろうえい)には5年以下の拘禁刑などの罰則を設ける。適性評価制度はこれらの情報にアクセスするための認証を与えるもので、犯罪・懲戒歴や飲酒の節度、借金などの経済状況のほか、家族らの国籍なども調べる。
立憲民主党は当初、重要情報の指定範囲が不明確であり、類似の制度である特定秘密保護法に盛り込まれている国会のチェック機能が欠けていると指摘してきた。政府・与党が運用状況を定期的に国会に報告するなどの仕組みの導入に応じ、自民、公明、立憲民主、日本維新の会、国民民主、教育無償化を実現する会の6党などが修正案を共同提出する形で可決した。
高市早苗経済安保相は、委員会審議の中で適性評価を受ける人数について、「(初年度は)多く見積もっても数千人程度で、数万人という単位にはならない」との見通しを示した。(笹山大志)