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オフィスビルの中にあるカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールの店舗=2024年11月、カナダ・モントリオール、真海喬生撮影

 セブン&アイ・ホールディングスに買収を提案していた、カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールは17日(現地時間16日)、セブンに対する買収提案を撤回すると発表した。セブン側との「建設的な協議の欠如」が理由だという。

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 クシュタールが同日、撤回を伝える書簡をセブンの取締役会に送付した。クシュタールは昨年、セブンに対し7兆円規模の買収を提案。今年5月には買収交渉の進展に向け、秘密保持契約を結んだと発表していた。

 しかし、クシュタールは今回の書簡で、セブン側が「意図的に混乱および遅延をもたらすような動き」をしたと主張。デューデリジェンス(適正評価)の際に限られた情報しか出さなかったなどとし、「全く真摯(しんし)な協議がなされない状況が続いている」とした。

セブン「想定され得たものと受け止め」

 これに対しセブンは17日、「(クシュタールの書簡の)数多くの誤った記述について賛同しかねる」としつつ、「(撤回は)想定され得たものとして受け止めている」とのコメントを発表した。

 クシュタールは、カナダや米国など29の国・地域で、ガソリンスタンドを併設するコンビニなど、約1万7千店舗を展開。合併・買収(M&A)を繰り返して拡大してきたことで知られている。

 今年3月には、アレックス・ミラー社長兼最高経営責任者(CEO)らが来日して記者会見を開き、セブン側が消極的で交渉が進まないとし、「本格的な交渉に進みたい」と話していた。

 セブンの経営陣はこれまで、自社単独での経営を志向してきた。7月にあった2025年3~5月期決算発表では、8月に新たな経営戦略を示す方針を発表。それをクシュタールの対抗軸として据える想定だった。

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