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イトーヨーカドーの店舗=2024年9月、東京都大田区、土居新平撮影

 セブン&アイ・ホールディングスは27日、創業家側から受けていた買収提案について、「正式提案に必要な資金調達のめどが立たなくなった」との連絡があったと発表した。事実上、提案は断念されたことになる。セブンは今後、カナダ企業からの買収提案を受け入れるか、自社単独で経営を続けることをめざすのかを選ぶ見通しだ。

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 セブンに対しては昨年、カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールが7兆円規模の買収を提案した。

 これに対抗し、セブン創業者の次男・伊藤順朗副社長と創業家の資産管理会社は、セブンを買収したうえで株式を非上場化することを提案した。

 だがクシュタール側を上回る巨額の資金を金融機関などから集める必要があり、計画づくりは難航。そんな中、1兆円規模の出資を要請していた伊藤忠商事が、計画への参加見送りを固めたことなどを受け、提案の断念に追い込まれた模様だ。

 セブンはこの日の発表で、「クシュタール社からの提案を含め、全ての戦略的選択肢を精査・検討していく」とした。ただ、クシュタールからの買収提案については、両社が展開する米国でのコンビニ事業のシェアが高まることから、競争法上の問題が生じる懸念がある。セブンは「当社の(社外取締役で構成する)特別委員会は、本案件が直面するであろう米国の競争法上の深刻な課題に対処しうる実行可能な案を実現できるかを確認するため、クシュタール社と建設的に協議を続けている」とした。

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