サッカー解説者のセルジオ越後さん

 今夏のパリ五輪でも、審判の判定をめぐり、様々な競技で「誤審では」などと批判が起きた。選手は審判と、どう向き合っていけばいいのか。審判のレベルをさらに高めるには、どうしたらいいのか。長年、サッカーを見つめてきた解説者のセルジオ越後さんに聞いた。

誤審と騒ぐのは大体負けたとき

 選手は、どう審判と向き合えばいいのか。ぼくは、誤審があったとしても、選手は審判の判定に従うべきだと思っているよ。

 例えばサッカーなら、審判は選手の安全も守ってくれていることを忘れてはいけない。試合中、どれだけファウルがある? 審判は、ラフプレーで選手がけがをしたり、試合が荒れたりしないようにコントロールもしている。楽な仕事じゃないよ。

 人が審判をする限り、誤審はつきものだし、たった一つのミスについてあれこれ言うのは違うんじゃないかな。ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)などが導入され、昔よりは見逃されなくなっている。それでも文句があるなら、選手を引退したら審判になりなさい、って言いたいよ。それに、選手やファンが誤審だと騒ぐのは大体負けたときだけど、実際は損するときもあれば得するときもある。

 今は、審判と選手や監督の間に、壁があるとも感じる。もっとコミュニケーションはとったほうがいい。たとえばシーズン後に、みんなで判定やプレーを振り返るようなプログラムを設けたらどうか。「この判定はどうなのか」とか、「このファウルは危ない」とか言い合う。そうすれば、もっとお互いの距離が縮まるし、理解も深まると思う。

要領よく付き合わないと

 ただ、審判との試合中の駆け引きはあってもいい。

 例えばブラジルでは、審判に…

共有
Exit mobile version