北海道根室市の海岸に打ち上げられていた野生のゼニガタアザラシ2頭が、高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染していた。環境省釧路自然環境事務所によると、アザラシ類の感染例は国内で初めてという。
環境省から報告を受けた北海道野生動物対策課が25日、発表した。ゼニガタアザラシの死骸が18日、根室市桂木地区の砂浜で4頭見つかり、同事務所と北海道大学に回収されていた。北大で遺伝子検査をしたところ、感染が確認された。環境省によると、今回のゼニガタアザラシへの感染経路は不明だという。専門家の意見も聞きながら今後判断する。
この地域では、2月以降、野鳥の感染例が相次いでおり、環境省が「野鳥監視重点区域」に指定し、警戒を強めていた。
3月以降は、海鳥(ウトウやエトロフウミスズメ、ケイマフリなど)の感染例も報告されいる。一般的にゼニガタアザラシと生息地が重なるため、海鳥の死骸やふんなどとの接触が原因になった可能性がある。
道野生動物対策課によると、感染した鳥と密接に接触するといった特殊な場合を除いて、通常では人には感染しないと考えられている。ただ、死亡したり衰弱したりしている鳥などの野生動物を見つけたときは「素手で触らず、近くの自治体に通報してほしい」と呼びかけている。
ゼニガタアザラシは、北海道東部の沿岸に生息。南限は襟裳岬で、希少鳥獣に指定されている。
道内では過去に、タヌキなどの感染例がある。