大阪市の建設会社・三和建設が熱中症対策向けに販売している「ゼネコンがつくったしおゼリー」の売れ行きが好調だ。厚生労働省が労働安全衛生規則を改正し、6月から企業に熱中症対策の強化を義務づけたばかり。建設会社や物流会社などのほか、スポーツ団体からも注文が相次ぎ、昨年の2倍以上になっている。
開発にあたった同社大阪本店長の川口秀夫さんは現場監督などの経験が豊富。建設現場の過酷な環境を何とかしたいと考えてきた。
熱中症対策では水分と塩分の補給が呼びかけられているが、塩の入ったあめやタブレットでは、のどを通らないことも。工事で関係が生まれた栄養食品加工の「岩瀬コスファ」(東京)と共同で、塩分補給できるゼリーを2020年に開発した。
当初は社内向けに作ったが、「売ってほしい」との声があり、21年から販売を開始。これまでに累計180万本が売れた。今年から生産体制を拡充し、義務化も追い風に今年は150万本の生産を予定する。
厚労省によると、2024年に職場の熱中症で4日以上の休業となった死傷者は1257人で、統計開始後最高だった。「常備してもらい、建設現場などから熱中症をなくすことにつながれば」と川口さんは話す。
ゼリーはレモン、マスカット、ライチ、ブドウ、リンゴの五つの味があり、1本10グラム。1本につき0・15グラムの塩分、ミネラルやビタミンが摂取できる。より食べやすい味や食感にするなど、改良を加えた。凍らせておいて手で握って少し溶かして食べるのがおすすめだという。1キロ(約100本)で5400円(税込み)。三和建設のホームページから購入できる。