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ソウル市内でラーメン店「清水」を経営する文旗得さん=2025年6月11日、ソウル、清水大輔撮影

日本と韓国の国交正常化から6月22日で60周年。深まる人的交流と互いの文化の浸透をテーマにした記事を配信します。

 韓国では日本の食文化への理解が深まるにつれ、本格的な味を出す飲食店が増えている。

 ソウルの中心部にあるラーメン屋「清水(シミズ)」は、昼時になると30席ほどの店内は客で満員になる。塩としょうゆの2種類は、いずれも日本の味そのもの。店主の文旗得(ムンギドゥク)さん(44)は「日本の駐在員の方々にも通っていただいている」とうれしそうに話す。

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 幼い頃から日本文化は身近だったという。小学校の頃、学校の近くの文房具屋に日本の人気漫画が廉価で売っていた。日本の大衆文化が開放される10年ほど前で、「コピー品」だったが、「ドラゴンボール」や「スラムダンク」を友だちと楽しく読んだ。

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ソウルのラーメン店「清水」のしょうゆラーメン。鶏と野菜のうまみがしみ出たスープは簡単に飲み干せる=2025年6月11日、ソウル、清水大輔撮影

 日本食に初めて接したのは2000年代初め。「イザカヤ」のメニューにラーメンがあった。それまで韓国で売られていた(唐辛子風の)赤いスープではなく、白いとんこつ風のスープで「こんな味のラーメンがあるんだ」と驚いた。

 その後、ソウルの街中にどんどん増えていくラーメン店にほぼ全て通い、22年に今の店を開いた。

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店内に製麺室があり、韓国産の3種類の小麦粉をブレンドして麺を作っているという=2025年6月11日、ソウル、清水大輔撮影

 すっきりとしたシンプルな味を目指した。だしは豚骨を試すなど試行錯誤の末、鶏を丸ごと煮出し、タマネギ、ニンニク、キャベツなど複数の野菜スープとブレンドする。新型コロナの流行前に経営していたサンドイッチ店時代の経験を生かし、製麺も店でする。弾力性のある食感は日本の人気店の麺に似ているが、スープとの相性を考え抜き、自分で考案したという。

 日本に行ったのは3回だが…

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