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【連載】老いる韓国 「超高齢化」のリアル 第2回

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ソウル市内で、無料の食事配布を待つ列に並ぶ高齢者ら=2024年3月、坪谷英紀撮影

 今年の夏は、韓国も厳しい猛暑だった。朝から気温が30度を超えた8月の平日、私はソウルの中心部にある公園を訪ねた。そばには慈善団体などによる無料の食事提供所が複数あり、いつも午前中から、高齢者らの列が出来ている。

 汗をぬぐいながら、ひとりでゆっくりと公園近くに歩いてきたのは、ソウル市内でひとり暮らしの男性だ。戸籍上の年齢は87歳。妻は亡くなり、子どもは地方で暮らす。

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 毎朝、65歳以上は無料で乗れる地下鉄を利用して訪れ、朝食、昼食はいずれも無料で提供される食事でしのぐ。「パンや餅などがもらえれば、それを夕食に充てるんだ」

 毎月の収入は、国から老後の生活保障のために支給される「基礎年金」が32万ウォン(約3万4千円)が大半。「電気代や水道代などを払えば大して残らないよ。生活に余裕はないね」と男性は言う。一人で家にいてもすることがなく、毎日、地下鉄でここに来て過ごすのだという。

【連載】老いる韓国 「超高齢化」のリアル

日本を上回るペースで進む韓国の「超高齢化」について報告します。超少子化、移民に続き、韓国の人口問題を考えるシリーズの第3弾となります。全9回。うち第5回までは韓国の現場の動きを紹介。第6回は日韓連携の可能性を探ります。第7回以降はインタビュー編となります。

  • 【第1弾】「出生率0.72」の韓国 超少子化社会のリアル
  • 【第2弾】「移民」争奪戦 韓国のリアル

 こうした生活が苦しい高齢者はどれぐらいいるのだろうか。

 近くにはリサイクル業者が廃…

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