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 日本の植民地時代に日本企業で強制労働させられたとする元徴用工の韓国人と遺族が韓国政府に損害賠償を求めた訴訟2件の判決が28日、ソウル中央地裁であった。地裁はいずれも訴えを棄却し、原告が敗訴した。原告側によると、韓国政府を相手にした関連訴訟の判決は初めて。

 2件の訴訟で原告は、1965年の日韓請求権協定で日本政府が無償供与した経済協力の3億ドルが元徴用工への支給に充てられなかったのは不当だと主張し、韓国政府に損害賠償を求めた。地裁は最高裁の判例を踏まえ、元徴用工には日本企業が賠償すべきだと判断し、政府の賠償責任を認めなかった。

 地裁は判決で「最高裁は日本企業への慰謝料請求権は請求権協定の対象外で消滅していないという法的見解を明確にした」と説明。「原告の訴えは慰謝料請求権の喪失を前提にしており、最高裁の見解と異なる」と強調した。原告は判決を不服として控訴する方針だ。(時事)

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