万博は「未来」を感じる新たな技術に触れる機会でもある。大阪・関西万博では立体的な物の表面に直接、布を縫い付けたり、縫い目を入れて装飾したりできる「MIRAIミシン」の試作機が出展される。
一般的なミシンは、上糸と下糸で平らな布地を挟みながら縫っていく。一方のMIRAIミシンは両手で持ち、電動ドリルを使うような格好で糸を通した小さなプラスチック「タグピン」を打ち込んでいくことで、立体物の表面に直接装飾品を縫い付けることなどができる。
手がけているのは1946年創業のミシンメーカー「アックスヤマザキ」(大阪市生野区)。「タグステッチ工法」と呼ばれる車のダッシュボードの装飾に利用されるトヨタ車体(愛知県刈谷市)の特許技術を活用している。
この技術を車の部品に使う以外にも広められないかと考えていたトヨタ車体からの申し出を受けて開発が始まり、試作機が完成。8月に、万博の大阪ヘルスケアパビリオンで催される関西大学による中小企業などの支援企画事業「リボーンチャレンジ」で展示される。
2026年の商品化をめざし、タグメーカーとタグピンの形や材質の改良を進めるなどしている。
アックスヤマザキの山崎一史社長は「ソファや自転車のサドルなどを気軽に補修したり、装飾したりできるようにしたい」と話している。