択捉島の写真集を眺める岩崎忠明さん=2024年11月26日午後0時29分、札幌市中央区、古畑航希撮影

 海岸近くの建物の下に隠れた。砂浜をじっと見つめる。外出を止められていたが、好奇心を抑えられなかった。

 「ソ連人はどんな顔なんだろう」

 沖合から、これまで見たことがない上陸用の船が徐々に近づいてきていた。

 1945年8月28日、ソ連軍、択捉島留別(るべつ)村に上陸。

 9月3日、紗那(しゃな)村にも1隻の船から機関銃を携えた5~6人のソ連兵が下りてきた。

 砂浜から川へ、橋へ、そして町へ。兵士たちが向かってくる。「やばい、やばい」。当時11歳だった岩崎忠明さん(90)は一目散に家に帰った。

 結局、ソ連兵は武器を回収…

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