タイの連立政権が窮地に立たされている。カンボジアとの国境紛争をめぐり、ペートンタン首相がタイ軍を批判した電話の音声が流出し、親軍保守派の一部の政党が18日夜、連立離脱を表明した。下院の過半数は辛うじて維持しているものの、さらに離脱が続く可能性があり、先行きが不透明になっている。
2024年8月に就任したペートンタン氏はタクシン元首相の次女で、タクシン派のタイ貢献党党首。現政権の枠組みは、23年の総選挙で第2党となったタクシン派と、親軍保守派の複数の小政党が手を結んで成立した。
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両派は当時、王室に対する不敬罪の改正を掲げて第1党となった革新系の前進党を政権から排除することで思惑が一致。軍のクーデターで政権を追われ、15年間国外逃亡していたタクシン氏も帰国を果たし、政治取引があったとみられていた。
ただ、元々対立関係にあった両派の間ではその後もいさかいが絶えず、昨年8月には、タクシン派のセター首相が、保守派の影響下にある憲法裁判所の解任命令を受け失職。ペートンタン氏が後を継いだが、カジノ解禁などの看板施策が保守派の抵抗で進まなかった。
「録音されているとは思わなかった」
トランプ関税をめぐる対応で…