世界各国のメーカーが開発にしのぎを削る「空飛ぶクルマ」。トヨタ自動車を退社し、ベンチャー企業「スカイドライブ」を立ち上げた福沢知浩CEO(最高経営責任者)(37)に現在地や見据える未来などについて聞いた。
――なぜ空飛ぶクルマに着目を?
「会社設立の前、若手の技術者で集まって、『革新的なものづくりをしたい』『モビリティーをつくりたい』とアイデアを出しあったのがきっかけです。その中で、一番実現させたいこととして挙がったのが空飛ぶクルマで、『東京五輪で飛ばせたら素晴らしいよね』と試作機をつくり始めました。飛行が安定するまでに3年ほどかかったんですが、多くの人に利用してもらえると考え会社をつくりました」
――起業し、開発拠点は東海地方に置いています。
「(東海地方は)自動車や航空機などを含めてエンジニアが多く、研究や開発に慣れている人が多い。こちらの事情をわかってもらいやすい土壌があるのは大きな利点です。愛知県豊田市からは開発を進めるのに重要な飛行試験場などを提供いただいています。地方自治体も含めた協力を得られるのは、とても大きいです」
――自動車メーカーのスズキと資本・業務提携しています。
「スカイドライブの空飛ぶクルマはコンパクトで軽量なのが特徴です。スズキもコンパクトカーを得意とし、シナジー(相乗効果)があります。スズキは部品の調達や品質の管理など長年のノウハウがあります。航空機という新たな分野ではありますが、量産段階での圧倒的な安定感は他社と比べても強みです」
グローバル競争を勝ち抜く強みは
――国内では資金調達の面でも先頭を走っていますが、世界にはライバルたちがいます。
「私たちがライバルだと思っ…