町内にあるタワーマンションの前に立つ小杉町3丁目町会の五十嵐俊男会長=2025年1月8日、川崎市中原区小杉町3丁目、稲石俊章撮影

 タワーマンションが林立する川崎市中原区の武蔵小杉駅近くの町内会が、3月末で解散する。町内の人口は15年で2.5倍に増えたのに、会員が激減したからだという。いったい何が起きているのか。

 1月3日、JR南武線の高架下にある小杉町3丁目町会会館で獅子舞が披露され、町会としては最後の舞に親子連れなど約50人が集まった。

 町会長の五十嵐俊男さん(81)はこうつぶやいた。「この中には町会の子はほとんどいないんだよな」

小杉町3丁目町会会館で催された獅子舞。タワーマンションに住む子どもたちが集まった=2025年1月3日、川崎市中原区小杉町3丁目、稲石俊章撮影

タワマンが3棟、人口は2.5倍に

 武蔵小杉駅の南西にある小杉町3丁目には区役所や警察署、郵便局などが並ぶ。

 市によると、2009年に2214人だった町内の人口は、24年に約2.5倍の5508人に増えた。駅周辺の再開発で高さ140~160メートルのタワマンが3棟(計約1400戸)できたためだ。

 一方、町会の会員はかつての850世帯から650世帯に減った。このうち半分ほどは、入居世帯すべてが会員になる古いマンションの住民で、町会活動に関わることはほとんどない。事実上退会している商店などもあって、実際の会員はもっと少ないという。

 五十嵐さんによると、戸建て住宅は30戸を割り、町工場も1カ所だけ。タワマンの住民で会員になっているのは10世帯程度。主に以前から町内に住んでいた人たちだという。

 こうした中、町会が開いていた盆踊りは10年以上前から実施できなくなった。新型コロナが流行する前後には、神社のお祭りなどに出す子どもみこしや地域の清掃、防犯パトロールなども中止。活動の縮小を受け、会費の徴収をやめた。

「いつか引き継いで」と願ったが

 一方、現在も活動が続くのは…

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