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佐藤敬子さんの代表作の一つ、「アトリエの窓から」=松原豊氏撮影
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 ダウン症の人たちの創作活動を支え続けた美術家、佐藤敬子さん(75)=三重県志摩市=の初の個展が、11日から津市の県立美術館県民ギャラリーで始まる。油彩・水彩を中心に版画や彫刻など、初期から新作まで約90点を展示。佐藤さんの50年以上にわたる創作活動の軌跡を紹介する。

 佐藤さんは松阪市出身。幼稚園の時に絵画教室に通い始め、中学から油絵を学んだ。東京の女子美術短大造形科で彫塑(ちょうそ)を学んだが、次第に絵の世界に移行していった。「カラフルで、色のある世界で遊べるのが絵の魅力」と話す。

 1990年、祖母がいる志摩市に拠点を移して夫の肇さん(78)と、ダウン症の人たちが通う絵画工房「アトリエ・エレマン・プレザン」を開設した。ダウン症の人たちの豊かな感性に心を打たれ、自由に描ける場が彼らにとって心地よい環境になると感じたからだ。93年には東京にも開設。「教えずに引き出す」をモットーにダウン症の人たちの自発性を重んじた制作の場を整え、30年以上見守ってきた。神奈川県の川崎市市民ミュージアムや三重県立美術館などで展覧会も開き、ダウン症の人たちの芸術を世間に伝えた。

 今回、初の個展を実現させた…

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