チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世が6日、90歳の誕生日を迎えた。自身の後継者を巡る発言が注目を集めるなか、亡命先のインド北部ダラムサラで信者たちと生誕を祝う祝賀会に出席し、「人々に奉仕し、ブッダの教えに沿って仕えていく」と述べた。
- ダライ・ラマの輪廻転生、中国外の可能性 14世が声明、制度存続へ
祝賀会には国内外の招待客や信者らが参加。インドのモディ首相や米国のオバマ元大統領らもメッセージを寄せた。14世は「義務からではなく、敬意や歓喜などの気持ちから来ていただいたことに感謝する」と述べた。
14世と交流を続けてきた米俳優リチャード・ギアさんの姿もあり、「無私を体現し、愛や思いやり、知恵を持つ(14世のような)人に会ったことがない」とたたえた。
14世は今月2日に後継者に関する声明を発表。自身の死去後に生まれ変わりを探す「輪廻(りんね)転生」の制度を存続する方針を示し、「他のいかなる者にもこの問題に干渉する権限はない」と指摘し、中国政府を牽制(けんせい)した。
これに対し、14世を「分裂主義者」と批判する中国外務省の毛寧報道局長は、ダライ・ラマの転生は「中国政府に承認されなければならない」と反論していた。
チベット仏教では全ての生物が生まれ変わるとの考えがあり、ダライ・ラマも死去後に生まれ変わりを探し、即位させる伝統を続けてきた。14世は長寿への意欲を示すほか、自身の後継者について中国国外で生まれることを示唆している。中国との対立が続けば、将来的に2人の「15世」が存在することになる恐れも指摘される。