半世紀ほど前にモンゴルで見つかった恐竜の化石が、映画「ジュラシック・パーク」でも人気の、ティラノサウルスの祖先にあたる新種だったとする研究成果を、北海道大などの国際研究チームがまとめた。ティラノサウルスの仲間は、アジア起源の祖先から、北米とアジアを往復しながら大型に進化したと考えられるという。論文を12日、英科学誌ネイチャーに発表する。
研究チームによると、白亜紀末期の約8600万~6600万年前、北米ではティラノサウルス・レックス、アジアではタルボサウルス・バタールが生態系の頂点にいた。大型のものでは3.5トン超になるティラノサウルスの仲間は、小さな恐竜から、分厚い頭骨と強くかむ力を持つ大型の肉食恐竜へと進化したと考えられていたが、それを裏付ける化石はほとんど見つかっていなかった。
チームは、1972~73年にモンゴル南東部の約9千万年前の地層から発見されていた2体の部分化石に着目した。別の既知種に分類されていたが、詳しく分析すると、鼻骨に空洞があるなど頭や肩の骨に固有の特徴を持っており、新種と考えられた。
体重は500キロ未満とみられ、スリムな体つきや浅い頭骨など、幼いティラノサウルスと似た特徴があるという。モンゴル語で「王子」と「竜」を組み合わせた「カンクウルウ・モンゴリエンシス」(モンゴルの王子の竜)と命名した。
北アメリカ大陸とアジア、往復しながら大型化か
チームは、この新種を含むテ…