【動画】フランスの高齢者施設で、コミュニケーション「パロ」を使って高齢者のケアにあたっている=山田史比古撮影
オリンピック・パラリンピックの余韻が、まだ残るフランス。
17日午前、パリ市に隣接するブーローニュビヤンクール市の高齢者施設で、アザラシ型のコミュニケーションロボット「パロ」を使ったセラピーが実施されていた。
認知症の人たち30人ほどが過ごすスペース。パロを抱えたスタッフが、希望した人に順番に近づき、ふれあってもらう。
「かわいいよねえ」
背中をなでる。「キュー」。パロが首をもたげ、鳴き声を出す。口づけをする人もいた。
パロは、日本の産業技術総合研究所(産総研、茨城県つくば市)が生み出した。身体性のAI(人工知能)を搭載。毛皮をなで、話しかけることで、パロも鳴き声などで喜んだような反応を示し、「飼い主」の好みも学ぶ。相互作用を通して関係性を築いていく。フランスでは、約350カ所の高齢者施設で利用されているという。
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今年施行された認知症基本法に基づき、9月21日は初めての「認知症の日」。基本法は、認知症の人が尊厳を保持し、希望を持って暮らせる共生社会を掲げる。
生成AIなど急激に進化し、日常生活を大きく変える可能性もあるテクノロジーは、認知症の人の暮らしを支える柱になりえるのか。人とコミュニケーションできるロボットを、ケアに活用できないかという動きも、少しずつ広がる。
ただし、そこには、いくつもの複雑な課題も存在する。
A-stories「認知症とテクノロジー 暮らしを支える」(全6回)
認知症ケアに新たな技術が活用される場面が増えています。認知症の人の暮らしを支え、共に生きていくうえで、テクノロジーはどこまで有効で、必要なのか。そして課題は。日本で、世界で、現場を訪ねて考えます。21日朝から配信予定です。