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写真・図版
広島ホームテレビ・アナウンサーの小嶋沙耶香さん=2025年6月23日午後1時12分、広島市中区白島北町、山中由睦撮影

 選挙で有権者が投票する際、参考にするのがメディアなどにあふれる情報です。ただ、情報は発信者の考え方などによって、見解が全く異なってきます。どのように情報を伝えているのか。広島ホームテレビの小嶋沙耶香アナウンサーに聞きました。

 政治家は女性活躍ってよく言いますが、子育てをしながらキャリアを築くって本当に難しい。

 小学1年生の長男が幼稚園生のころ、体調を崩したので、病児保育の預け先を探そうと朝から電話をかけ続けました。でも、広島市内はどこの施設もいっぱい。何とか職場から離れた施設を見つけ、やむなくタクシーで預けに行きましたが、会社は遅刻してしまいました。

 看護師資格を持つ人を家庭に派遣する「訪問型病児保育」を始めている自治体もあります。けれど、こういった自治体は一部。保育士や保育施設の数もそうですが、もう少し社会全体のプラスアルファがないと、女性は安心して働けません。

 政府は男性の育休取得を促進しています。でも、子育てって幼少期だけが大変なわけじゃない。病気や進学のタイミングでも子どもに寄り添うために、男女とも休みが取れる社会的な空気やそれを担保する制度があっていいと思う。選挙ではそんな議論も期待したいです。

 ただ、これはあくまで私の考えです。

 子育て施策の充実について、年配の知人は「(財政出動が増えて)将来世代の負担になってしまわないか」と慎重な姿勢でした。物価高対策として、首相が表明した国民1人あたり現金2万円の給付案も、「もらえる物はもらいたい」って思う人もいれば、「財源は私たちの税金じゃん」って否定的に考える人もいる。

 物事って色んな見方ができ、報道もテレビ局によって全然違う描き方になることがあります。だからこそバランスが大事。私の担当する報道番組では、賛否分かれる問題は両方の意見を扱うようにしていますし、キャスターが中立を意識して何もコメントしないこともあります。

 SNSを見ると、突っ込んだ発言が多く刺激的です。そういう情報に慣れると、「テレビは守りだ」って物足りなく感じるかもしれません。でも、見る人に判断を委ねるという情報の出し方も、私は大切にしたい。一つの情報だけに左右されず、自分で考える。参院選がそういうきっかけになればいいですよね。

小嶋沙耶香さんのプロフィール

 2008年に広島ホームテレビにアナウンサーとして入社。報道番組や情報番組などを担当し、昨年春から平日夕方の「ピタニュー」のMCを務める。

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