2023年3月28日にテレビ東京などで放送された「激録・警察密着24時‼」について、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会(曽我部真裕委員長)は18日、番組に「放送倫理上の問題があった」とする決定を公表。警察密着番組について、「構造的に人権侵害につながるリスクが顕在化した」と指摘した。取りあげられた会社役員らへの名誉毀損(きそん)は成立するとしたが、テレ東の謝罪で、一定程度回復されていると判断。人権侵害を認定する「勧告」ではなく「見解」の公表にとどめた。
番組では、愛知県警が捜査していた人気漫画「鬼滅の刃」の商品に関する不正競争防止法違反の疑いがある事案を取り上げ、会社役員ら4人が逮捕される場面などを放送。しかしこのうち3人が不起訴になったことには言及していなかった。その後、この役員側が苦情を申し立てていた。
テレ東は昨年5月28日、3人の不起訴に言及しなかったことは不適切だった▽「逆ギレ」や「今度は泣き落とし」といった刺激的なナレーションを多用したり、「“ニセ鬼滅”組織を一網打尽」といったテロップを使用したことは、配慮を欠き、行き過ぎた演出だった――などと放送や公式サイトなどで謝罪した。
さらに、会社役員らが「鬼滅の刃」のキャラクターをそのまま描いた商品を「中国へ発注していた」と放映したが、役員側から「(そのような)事実など無い」と指摘を受けた▽警察署内の捜査員同士の会話や会議の様子を事後に撮影したのに、捜査の時系列に沿っているかのように番組を構成していた――といった点も明らかにしていた。
役員側は、警察官が捜査の様子を事後に「再現」した点の制作過程をテレ東が明らかにしなかったことに納得しておらず、人権委は昨年6月に審理入りを決めた。
無罪主張のさなかに「再現」
テレ東も複数の問題点があると認めていたものの、人権委が検討の対象としたのは、警察官による「再現」部分に限られた。
おわび文の内容をテレ東が役…