警察庁が入る庁舎=2025年7月4日午後1時43分、東京都千代田区

 警察庁は、SNSの投稿からテロにつながりそうな人物をAIで見つけ出す実証実験を来年度に始める方針を決めた。警戒するのは、組織に属さず存在の把握が難しい単独の攻撃者「ローンオフェンダー(LO)」だ。テロの前兆を把握し、未然に防ぐ狙いがある。警察庁は来年度予算の概算要求に4950万円を盛り込んだ。

 「来たら殺す」。7月の参院選の期間中、JR船橋駅(千葉県船橋市)で演説予定だった岸田文雄前首相のSNSにこんな書き込みがされた。この書き込みを把握した警察は投稿者を特定し、警告した。投稿者は「飲酒した勢いで投稿した」と話したという。

 投開票日までの1カ月間で、こうした投稿は約900件あった。いずれも都道府県警の警察官らが見つけたものだった。ただ、人の目では危険な投稿を全て把握するのに限界がある。

 そこで、警察庁はAIを使って「爆弾」「56す」「4ね」などのキーワードをもとに投稿を見つけ出したい考えだ。

 投稿のなかには、単なるいたずらで書き込まれたものも想定され、危険度の優先順位をつけることも必要になってくる。過去にテロを称賛する書き込みがないかなど、AIがその人物のこれまでの投稿をさかのぼって分析し、警戒するべき投稿を選定していく。AIが選定した後は、警察官が投稿した人物の摘発や警告につなげる方針という。

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