子どもの学力の変化を調べる国の「経年変化分析調査」(2024年度)で、小学校国語・算数、中学校国語で基準年の8年前より成績が下がっていた。
調査は全国の小学6年生と中学3年生を抽出し、小学校は国語と算数、中学は国語と数学と英語について、スコアの水準や分布をそれぞれ調べた。
学力格差を研究し、文部科学省の専門家会議の委員を長く務める耳塚寛明・お茶の水女子大名誉教授(教育社会学)は、今回の結果をどうみるのか。
――結果をどう受けとめたか。
がくんと下がったのは初めて
驚いた。中学数学を除いて、小学国語・算数、中学国語・英語でスコアががくんと下がっている。経年変化分析調査は2016年度から続いてきたが、はっきり落ちたのは初めてだ。
この調査は、毎年、小学校6年、中学校3年の学年全員を対象とする学力調査と並ぶ二本柱だ。だが、これまでは変化が小さく注目されてこなかった。学力の変化が見えた今回は、改めてこの調査の存在意義を確認する機会となったといえる。
「ゆとり教育」の時と違い、要因は複合的
――なぜ落ちたか。
2000年代の学力低下問題は、いわゆる「ゆとり教育」という教育行政のエラーが要因としてあった。
しかし今回は、要因は複合的で、すぐ論証できるものはない。今後の経過を見守りつつ、絡み合った要因を一つ一つほどいて確認をする作業が必要だ。
――どんな要因か…